旅の記録(詳細)

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白夜のサンクトペテルブルクの街歩き

プロフィール

名前:中村正人

職業:旅行ジャーナリスト

プロフィール:『Platウラジオストク』、『地球の歩き方 極東ロシア』の編集担当。webサイト「ボーダーツーリズム=国境観光を楽しもう」を運営。

当社が2019年秋に、サンクトペテルブルグ観光案内所東京オフィスを開所するにあたり、JATMと長らく協力関係にある、旅行ジャーナリストの中村正人氏に視察旅行に参加頂きました。今回の視察旅行は、観光案内所を管轄するサンクトペテルブルグ観光開発委員会の主催によるものです。

いざ、「マジックアワー」の町へ

7月中旬、サンクトペテルブルクを訪ねました。白夜の季節で、この時期午後10時を過ぎないと、日が暮れません。1日の活動時間が長く、エルミタージュ美術館や帝政ロシア時代の離宮などをじっくり観られるのはありがたいのですが、夕食が始まるのは8時くらいからのんびりと。この町の美しい夜景を撮ろうとしたら、いったんホテルに戻ってひと休みしてから、10時過ぎくらいに再び町に繰り出すことになります。
今回の宿は、町の中心に位置するグランドホテル・ヨーロッパで、主な観光スポットは徒歩圏内だったので、便利でした。
その日も、同行した仲間と一緒に午後10時にホテルロビーに集合。夜景の撮影に適しているのは、日が暮れてから30分以内の、いわゆる「マジックアワー」です。実際、通りのネオンが灯るのも、日が沈んで30分後です。太陽がなくても、すぐに暗くはならないからです。
メインストリートのネフスキー大通りの交差点に立ち、みんなでカメラを構えます。空が青みを帯びてくるのは、やはりネオンが灯り始めてから。よさげな撮影スポットを探し歩きましたが、グリボエードフ運河に沿って血の上の救世主教会が見える橋のたもとからの光景がイチオシでした。
今年の夏のヨーロッパは異常な高温と聞きますが、サンクトペテルブルクでは20度前後で過ごしやすく、夜風にあたりながらの街歩きは気持ちよかったです。

古都ならではのわくわく感が

街歩きでもうひとつ面白かったのは、地下鉄でした。なにしろホームに向かうエスカレートがやたらと長いのです。モスクワの地下鉄ほど豪華絢爛ではないのですが、乗客たちがはるかかなたの通路に吸い込まれるように次々と運ばれていく様子にわくわくしました。路線数はそれほど多くないので、東京に暮らす人間であれば、わりと楽に乗りこなせるでしょう。
サンクトペテルブルクでは、正統派のロシア料理やジョージア(旧グルジア)料理などに加え、新感覚のフュージョン系ロシア料理を味わうことができました。GINZAグループという名のレストランチェーンがあり、素材はロシアの地のものですが、調理法や味つけがイタリア風だったり、日本食を意識していたり、なかなか凝っています。こちらでは日本食が流行しているようです。ただし、純粋な日本食とは違いますけれど。
いまサンクトペテルブルクは海外からの観光客誘致に力を入れていて、今年10月1日から電子簡易ビザの発給が発表されました。もっとも、現状日本からの直行便はないので、フィンエアーなどでヨーロッパ経由、あるいはアジア経由でサンクトペテルブルクに入る場合のみ利用可能です。モスクワ経由では通常通りの観光ビザの取得が必要です。
次々の新しい博物館やアートスポットが生まれていました。もし時間が許せば1週間くらい滞在して、街歩きや美術館めぐりを楽しみたいものです。

ペテルブルクの人々の思いやり

最後に個人的な“うれし恥ずかしい”エピソードをひとつ。実は、滞在中たまたまぼくの誕生日と重なっていたのですが、その日の朝、朝食ブッフェで食事を終えて席を立ち去ろうとしたとき、ホテルのスタッフからケーキが届けられました。皿の上にしっかりチョコレートで「Happy Birthday!」と書かれていました。
さらに、その日の観光を終え、部屋に戻ってきたら、シャンパンとチョコレートがテーブルの上に置かれていたのです。Facebookにその写真を載せると、ロシア通の知人から「そのシャンパンはクリミア産で、日本には輸入できない逸品です」と告げられました。結局、そのシャンパンはいまだに自宅の冷蔵庫の中にあるんです。